浦添ふ頭地区における民港の形状案を考えるうえでの事実整理とそれに関する私見

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キャンプキンザーの空撮画像沖縄

那覇港湾管理組合が那覇港浦添ふ頭地区に関する県民アンケートを実施しています。私は現在県内に在住していないので回答権はないですが、SNSをみていると那覇港湾管理組合の計画を誤解しているのかな?と思えるような投稿もみられるので、情報を整理&私見を述べてみました。

誤解に基づいて議論が進んでしまっては那覇港湾関係者も県民にも良くないと思ったので筆を執った次第です。逆に私の誤解等あればご指摘頂けますと幸甚です。

那覇港(浦添ふ頭含む)はアジアの中継拠点港にはなれない?

那覇港管理組合が「浦添ふ頭を埋め立ててアジアの中継拠点港を目指す」としているのに対して、これに反対する立場で「アジアの中継拠点港とするには無理がある」「台湾の高雄港とはとても戦えない」といった意見がみられますが、これは那覇港管理組合の狙いを誤解しているように思えます。

そもそも那覇港管理組合は、アジアのハブ(高雄港)と本土の港をつなぐサブハブを「中継拠点港」と呼称しており、初めから高雄港と争うような港湾を目指してはいません。

なので、「高雄港と争えるような港を設けるには無理があるのだから民港は要らない」といった意見は、議論が噛み合っていないと思います。

既にアジアの航路が確立されているから那覇港を中継拠点港にする必要はない?

現状、「那覇港を経由せずにアジアの物資が動いている中で、わざわざ沖縄を中継するメリットがあるのか」という疑問があるのはもっともだと思います。ただ、その点に関しては、それなりに港湾関係者も市場調査をした上で「中継拠点港」という構想を作っているように見えます。

すなわち、「高雄港と連携・補完するような港として、規模が小さいなりに機能的な拠点を、低コストで提供する」というコンセプトです。成否は関係者の努力次第だと思いますが、課題もきちんと認識した上で進めているようであり、荒唐無稽な話だとは思いません。

個人的には観光以外で目立った産業がない沖縄で、地の利を活かしてなんとか観光以外の産業振興を図ろうという関係者の努力を馬鹿にはできません(「どうせ無理なんだから埋め立てはやめよう」というのも1つの考え方だとは理解しています)。

ちなみに、「アジアの主要港を線で結び、その中で沖縄が取り残されているように見える(沖縄には線が繋がっていない)」図が出回っています。一見すると沖縄を経由すればかなり遠回りになってしまうように見えてしまいますが、この図は実際の貨物船の航行ルートや物流量とは全く異なるので注意が必要です。

那覇港の取扱貨物量は増えていない?

那覇港湾管理組合が「貨物量が増えているので港湾施設の拡張が必要」と主張しているのに対し、「沖縄から運ぶものが少なく貨物量が増えていない」との批判もみられます。

確かに製造業などの集積がない沖縄には県外・国外に運ぶものがあまりなく、「沖縄発」の荷物が増えていないのは事実ですが、一方で、「沖縄に入ってくる貨物」は年々増えています。コロナ禍前までは入域観光客数が急速なペースで増えてきたからです。この結果、主要な物流港である那覇港のキャパシティが逼迫しており、「港湾の拡張が必要」という那覇港湾管理組合の主張も一定の合理性があります。

また、2020年から那覇空港の第2滑走路が共用開始されている効果もあって、コロナ禍が落ち着けば、今まで以上のペースで観光客は増えていくでしょう。多少人口が減ったところで、必要となる物資の量は当面増え続けると考えられます。

なお、浦添ふ頭地区の埋め立てに反対される方の中には「沖縄発の積荷がなく空コンテナが多い」「数字的な根拠がない」との主張もありますが、キャパシティが逼迫している受入貨物の物量は、コンテナ数だけでなく重量ベースでも着実に増えています。これについては那覇港湾管理組合も数字で根拠を示しています。キャパシティを増やさなければ物資の受け入れができなくなり、観光業だけでなく県民生活にも大きな問題を及ぼしかねません。

浦添ふ頭に民港+軍港を設ければ潮の流れが止まって海が死んでしまう?

そもそも民港のアンケートに軍港の話を持ち出すのはどうかと個人的には思いますが、それはさておき、「民港を浦添ふ頭地区の南側に、軍港を北側に配置すると潮の流れが止まって海が死んでしまう」との意見がみられます。

確かに「軍港に至るまでの通路を完全に埋め立てて軍港を作れば確かに潮の流れは止まる」という気もしますが、軍港に至るまでの通路部分を橋にすればそのような問題は生じないと思います。浦添パルコ前にある西海岸道路も海の上に建てられた橋です。

それでも「少しでも環境を守るために埋め立てすべきでない」というのであれば理解できますが、「どう考えても海が死んでしまうのでやめるべき」といった表現は誇張だと思います。

もちろん軍港に至る通路部分が確実に橋になるという保証はないわけなので、ここについては浦添市や防衛省、政府・総合事務局などに早めに意見をつけておいた方がいいのかなという気はします。

防波堤越しに見る夕日はダメ?

「民港、軍港の沖合に建設予定の防波堤の高さが10mあり、夕日が台無し」といった趣旨の意見もみられました。そもそも現在の浦添ふ頭の防波堤が5m程度のようなので、10mというのがどこから来たのかというのが気になるところではありますが、それはさておき、防波堤が設置されるのは現在の海岸線から約2km沖合です。

目の前に10mの構造物が立ったらちょっと圧迫感はあると思いますが、2km先に10mの構造物だったらそんなに気にならない方もいるのではないでしょうか。もちろん無いに越したことはないですが。

「それでも世界的リゾートには相応しくない」という考えもあると思いますが、個人的には、既に隣接地に物流施設がある時点で最高級の世界的リゾートとするには無理があると思っています。一方で、2km先に1mの防波堤がある程度であれば北谷のヒルトンよりは遥かにマシだとも思います。

港があると高級リゾートはできない?

「隣に港があるような立地に高級リゾートはできない」との意見も見られました。確かに難易度は上がると思いますが、立地や景観等を考慮しても前述した北谷のヒルトンよりはいいものが作れる可能性が高いのではないかと思います。

軍港については私も「ないに越したことはない」、「あるにしても南側が望ましい」と思いますが、一方で「多分北側以外難しいだろうな」と思っています(これについては後日まとめます)。

個人的には「軍港のイメージアップ&観光資源としての利用を図る」のも一案かなと考えています。北谷ではアメリカを模した街を作っているわけですが、軍港はアメリカそのものなわけです。

軍港内に観光客や地元客が利用可能なレストランや商業施設、資料館などがあれば(超富裕層には響かないと思いますが)観光地として1 つの目玉にはなるでしょう。米軍基地フェスタはいつも大賑わいです。

そして周辺開発についてもアメリカのイメージを上手く調和を図りながら進めれば軍港の悪いイメージを目立たせずにリゾート開発ができるのではないかと勝手に妄想しています。

それによって埋立面積が広がっては本末転倒ですが、「軍港が近くにあるリゾートなどない」というのであれば「それをを売りにしてやる」くらいの気概で周辺開発に望むのも一案だと思います。

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