Discrete4 Synergy Coreを購入してしばらく経ちました。価格とスペック・機能を考えればいい製品だと思いますが、①複数の不具合があり不安定さは否めない、②サポートの体制および対応に不安がある、③他人への譲渡が想定されておらず、ライセンス譲渡などの具体的手続きが用意されていない(自己責任でライセンスごと譲渡するほかない)など多くの問題があり、やはり安易に他人には自信を持ってお勧めできないなという結論に至りましたので、購入の際の参考になればと思い記事にしてみました。逆にこれを読んで問題ないと感じる方は購入して良いと思います。
①複数の不具合と不安定な挙動
まず申し上げておきたいのは、今のところ「デバイスの認識ができず全く録音できない」、「レイテンシーがひどく使い物にならない」といったひどい不具合は発生していません。ただし、ところどころで怪しい挙動や使いづらい仕様が複数あり、使う度にストレスがたまります。また、後述しますが、サポートが全く頼りにならないこともあって、私は使い続ける気力を失ってしまいました。運良く不具合が全く発生しなければいいですが、仮に不具合に見舞われた場合、(これも後述しますが)ライセンス譲渡も簡単にはできないので、「安いから取り敢えず買ってみよう」みたいな感じで購入すると、結構な確率で後悔する方が出てくるのではないかと思います。
Antelope Launcherが正常起動しない
Discrete4を操作するために必ず起動しなければならない「Antelope Launcher」というソフトがあるのですが、別記事にも記載した通り、私の環境ではこれがかなりの確率で起動に失敗します。このランチャーソフトが正常起動するまでに10回以上アイコンをダブルクリックしなければならないこともあり、かなりのストレスとなります。
ファームウェア・ドライバのアップデートにほぼ毎回失敗する
全般的にソフトウェアの完成度が低いためか、結構な頻度(月に1~2度くらい?)でファームウェアやドライバ類のアップデートを行う必要が生じるのですが、私の環境では、決められた手順通り実施してもほぼ確実にアップデートに失敗します。
その度にファクトリーリセット、それでも解決しなければゴールデンブートというややこしい手順を踏まねばならず、かなりの無駄な作業時間が発生します。また、ファームウェアアップデートの途中で作業が中断されてしまうので、起動不能になるのではないかという不安と闘いながら作業を行う羽目になります。今のところ結果的に起動不能になるような事象は発生していませんが、精神衛生上好ましくありません。
突然電源の入れ直し&PC再起動をしないと使えない状態に陥る
作業をしていると、突然デバイスの認識ができなくなってしまい、電源の入れなおし&PC再起動をしないと使えない状態に陥る事象がこれまでに数回発生しています。これも再起動から復帰までにそれなりの時間を要しますのでストレスがたまります。
デバイスは認識しているが突然音が出なくなる
更に、デバイスをPCが認識していても突然音が出なくなる事象が何回か発生しています。設定がおかしいのかと思いあれこれ設定を見直しても解決せず、結局Discrete4とPCを再起動すると、何事もなかったかのように音が鳴り出します。
ファームウェアアップデートの度にファクトリーリセットをかける必要がある
これは不具合ではないですが、先ほど申し上げた通り、頻繁にファームウェアアップデートをかける必要が生じます。その際、既定の手順では、必ずファクトリーリセットをかけなければなりません。スクリーンセーバーの種類や時刻、ディスプレイの輝度などの設定も消えてしまいますので、その都度再設定しなければならず、何だかなぁという気分にさせられます。
②サポート体制や対応への不安
上述のAntelope Launcherが起動しない件で国内サポートとやりとりをしましたが、原因不明で正しく動作しない場合、基本的に「環境のせい」ということを言われて終わりです。困っているユーザーへの思いやりが一切ないので、一通り何らかの回答はしてくれるものの、解決に向けて何か働きかけてくれることもありません。
また、製品に問題はないとのスタンスなので、困っているユーザーに対してねぎらいの言葉もありません。基本スタンスがそういう感じですので、回答も責任回避と問題解決に関係ない知識のひけらかしに終始してしまい、どんどん話がずれて時間ばかりがかかりってしまいます。
どこのメーカーも「相性問題に個別に対応することはない」と言われればそうかもしれませんが、前述の通り、Antelope社製品の挙動は工業製品としてかなり(少なくとも私が購入した工業製品の中ではトップクラスに)不安定である中でサポートがこういうスタンスでは安心して製品を使えません。
③中古取引に関するサポート情報の不足
これもサポートに確認して分かったのですが、製品の譲渡や再販には国内サポートは関与しないので、(Web上のサポート情報を見て)自己責任でやってくれと言われてしまいました。欧州の個人情報の法律に抵触するのが理由とのことです。
例えば製品登録の際に購入日や金額、購入店などを送信する必要がありますが、中古品を製品登録する場合、どのような取り扱いをすれば良いかについては、サポートページには一切記載がありませんし、これについてサポートが何か回答してくれることはありません。
このご時世にこんな不便な製品登録の仕組みを採用し、しかもまともなサポートも無いということで愕然としました。因みにAntelopeと同様、製品登録に購入証明の送付が必要な某メーカー(欧州でも製品を販売)に製品譲渡時の対応を問い合わせたところ、「登録解除および譲渡・再販は自由」「譲り受けた人は新たに製品登録可能」ということで具体的な手続きを快く教えてくれました。
まとめ
このように、製品の細々した不具合や不便な仕様、脆弱なサポート体制、譲渡等のしづらさなど、購入して分かった不都合な点をまとめてみました。正常に使えればコスパは非常に高い製品と思われるだけに非常に残念ですが、購入にはそれなりのリスクがつきまとうということが伝われば幸甚です。
なお、ネット上には単体のクロックジェネレーターとして考えても価格以上の価値があるといった意見も目にしますし、実際クロックジェネレーターとして活用できればいいという方にとっては、こうした細かい点は気にする必要はないのかもしれません。
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