沖縄県外在住のサラリーマンである私がキャンプキンザー(牧港補給地区)の軍用地を買った記録第3弾です。今回はキャンプキンザーの返還計画の進捗状況についてまとめました。前回までの記事は下記をご覧ください。
キャンプキンザー倉庫地区(国道58号線側)返還計画の進捗状況
キャンプキンザーの東側に位置する倉庫地区は2013年の基地返還計画において、以下の条件を満たしたうえで「2025年またはそれ以降」に返還されるスケジュールとなっています。
1.陸軍倉庫のトリイ通信施設への移設。
2.国防省支援機関の施設の嘉手納弾薬庫地区の知花地区への移設。
3.海兵隊の倉庫、工場等のキャンプ・ハンセンへの移設。
4.海兵隊郵便局等のキャンプ瑞慶覧への移設。
1、3、4については順調に進んでいましたが、2021年の1月に、2.の嘉手納弾薬庫地区知花地区への移設面積が大きく拡大される形で基地返還計画の見直し・合意が行われました。ただし、現時点では「2025年またはそれ以降」とされている返還時期は据え置かれたままとなっています。
これを受けた沖縄の地元紙の論調は、「キンザーの返還が遅れる可能性が高い」とのことで、確かにそのリスクは意識しておく必要があると思います。ただし、共同通信はこれを受けて「早期返還が進む可能性がある」と報じており、方向感が定まっていません。
今後については全く予断を許さない状況だとは思いますが、キンザーの早期返還に関しては、浦添市の松本市長が2020年11月にも菅総理および加藤官房長官に直談判し、日米首脳会談で菅総理がバイデン大統領に早期返還を要請するなど、政府内でもかなり重要度の高い案件となっています。また、そもそも嘉手納弾薬庫の大幅な拡張という日本側の譲歩によって、当初予定通りの返還を引き出せたという可能性もあります(対外的にそのようなことは言えないでしょうが)。これについては今後の情報を待ちたいと思います。
なお、「移設先(嘉手納弾薬庫地区知花地区)の用地取得が難航しているため返還が後ずれする」という情報をSNS上で見かけたのですが、報道ベースでそのような事実は確認できませんでした(ソースをご存知の方がいらっしゃったら教えて下さい)。
というわけで、キャンプキンザーの倉庫地区については、遅れる可能性が相応にあるものの、政治的要請もあって、2025年返還に向けて調整が進められているという状況です。
キャンプキンザー隊舎地区(海側)の返還計画の進捗状況
キャンプキンザーの西側に位置する隊舎地区については米海兵隊の国外移転が完了し、以下の条件を満たしたうえで、2024年度ないしそれ以降に返還されるスケジュールとなっています。
1.牧港補給地区にある海兵隊管理棟等のキャンプ瑞慶覧への移設
2.米軍放送網 (AFN) の送信施設のキャンプ・コートニーへの移設
3.日本国外の場所に移転する部隊を支援する機能の解除
2020年12月の報道では、米海兵隊9000人が計画通り2020年代前半にグアムに移転を始めるとのことで、こちらは順調に進んでいるようです。
なお、SNS上で「普天間基地の移設が進まず海兵隊の国外移転ができないためキンザーは返還されない」、「米海兵隊を全て移転させるのは無理なのでキンザーは返還されない」といった意見を目にしましたが、これは誤りだと思われます。既に普天間基地の移設と米海兵隊の国外移転計画は切り離されていますし、もともと米海兵隊全てを国外移転させる計画などありません。
まとめ
倉庫地区については嘉手納弾薬庫地区知花地区への移設が遅れていることで、返還が遅れるリスクがあるものの、極力遅らせないよう調整が進められていること、隊舎地区については概ね計画通りに進んでいることがお分かりいただけたかと思います。
次回はキャンプキンザーの返還後の跡地の開発計画について整理してみます。
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