海外通販サイトで注文していたApogee Symphony Desktopが到着しました。今回は早速使用してみて、現在メインで使っているDiscrete4と比較したメリット、デメリットをまとめてみました(11/17一部追記)。
録り音、マイクプリ
録り音に関しては、アコースティックギターや歌を簡単に録ってみた印象ではSymphonyとDiscreteで明確な優劣は感じませんでした。両機種ともマイクプリエミュレーションを利用でき、その有無や設定でも音が変わるので、なかなか優劣をつけるのは難しいですね。今後、音を重ねたりして使い込めばそれぞれ良いところ、気になるところが見えてくるかもしれません。
再生時の音質
モニターアウトはうちのスピーカーがショボい&大音量を出せないということで、特段の違いを感じませんが、ヘッドフォンアウトは明らかにSymphonyが良いです。聴けば聴くほど良い。Discrete4もMOTU Microbook2(手元にあって比較できるのがこれだけ)などと比べると十分良い音ですがSymphonyと比べてしまうと「Discrete4のヘッドフォンアウトってこんなに歪んでたんだな」と愕然とするレベルです。Symphonyは全く歪みなく聴こえるボーカルが、Discrete4だとチリチリと飽和しているのが分かります。
また、Symphonyの方が高音の抜けも良いので、やや大げさに表現すると、Symphonyでは「スタッ」となるスネアがDiscrete4だと「ベチッ」と少し濁る感じに聞こえてしまいます。Discrete4は相対的に中域に音が集まっていて、ごちゃついている感じがあります。
ミックスするならSymphonyの方が信頼できますし、リスニングもSymphonyの方が気持ちよく聴けると思います。
入出力数
アナログ入力はSymphonyが2系統、Discrete4が4系統です。
歌やギターを録音するだけならSymphonyで十分ですが、シンセサイザーを常時接続して追加でギターやマイクを繋げるのであればDiscrete4の方が便利です。
これは各人の使い方によりますが、個人的にはSymphonyにも追加でライン入力が2系統あれば最高だったのにと思います。
エフェクト
エフェクトについては、それぞれ長所、短所があります。
SymphonyはDSPによるエフェクトを掛けることができ、リアルタイムモニタリングだけでなく、後掛けもできます。また、本体がなくてもプラグインでエフェクトを掛けることもできるようです(その場合はPCリソースを消費)。
Discrete4はFPGA+DSPによるエフェクトを掛けることができます。DAWのハードウェアインサート機能を使えば後掛けできなくもないですが、やや面倒で、基本は掛け録り専門になります。一方で、ギターアンプシミュレーターが使えるのはDiscrete4のみの強みです。
このほか、Discrete4は追加の有償プラグインも種類が豊富で、AutoTuneなどの強力なエフェクトをゼロレイテンシー、PCリソース消費ゼロで使えます。
操作性
Symphonyは現時点でPC用のコントロールパネルソフトが存在しませんが、タッチパネルで様々な機能にアクセスできるようになっており、非常に使いやすいです。プリアンプエミュレーションもタッチパネル上で操作できますし、今後はチャンネルストリップの設定変更なども本体のみでできるようになるようです。
Discrete4もボタンが少ないなりに練られた操作系だとは思いますし、それで何不都合がある訳ではないですが、Symphonyの利便性には劣ります。
安定性
Discrete4は今のところ致命的な不具合はないもののランチャーの起動に失敗することがあるなど不安定さは否めません。
Symphonyも発売が大きく遅れていますし、一部機能は遅れて提供されるなど、不安要素は大いにあります。現時点では、起動時間が異様に長い(30秒ほど)以外は、特段気になる点はありません。
総評・コスパ
音質と入力の多さ、コスパを総合的に考えればDiscrete4は非常に優れた選択肢だと思いますが、入力は少なくて価格は高くてもとにかく最高の音質を求める方にはSymphonyがお勧めです。
また、エフェクトをバンバン後掛けしたい方にはSymphony一択、一方で掛け録りオンリーでもアンプシミュレーター含む沢山のエフェクトを使いたいという方にはDiscrete4がお勧めです。
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